bouyant

テニスの王子様のことが大好きです。

経過の青学、結果の氷帝

舞台上にある「青学、卒業。氷帝、君臨。」はわたしが勝手に思ってる青学は経過で氷帝は結果だって話なんですけど。


青学はどう勝つか/負けるかをすごく丁寧に描く。それが『テニスの王子様』だからね? って言われればそうなんですけど、こう勝った/負けた、だから次の奴が頑張れる。

経過を知ってるから次に繋がる。次の仲間に繋げるテニス。(ただ関東氷帝の時点で不二先輩は誰かから繋げてもらえはするけど誰かに繋げられていない…と思う。これはまた別の話)青学のテニス。All for tennisだね。誰かのミスは誰かがフォローお前の涙を拭う俺のタオルだよね。

氷帝は、結果を持ち帰ることが最も重要である。負ければレギュラーから脱落という懲戒が待ち受けている。これは政治的身体の死だ。勝利をチームに持ち帰ることこそが目的であり、(わたしのマリーアントワネット思考でなければ)勝利を跡部に捧げるのが目的。

ただ、結果を持ち帰ればチームは大きく勝利に前進する。しかし、氷帝メンバーのそれぞれの試合は、結果が伴わなかった場合にはチームに貢献することはできない。


そんな物語を背負った青学キャスト、氷帝キャスト。

そしてテニミュキャストとして「卒業」を背負った青学8代目。「君臨」を背負った氷帝

「卒業」する青学8代目が観せるのは、今までやってきたことの集大成。不動峰聖ルドルフ、山吹と公演を重ねてきた「経過」を所々で観客は思い出しながら彼らの背中を見送る。

対して初登場となった3rd氷帝が観せなければならないのは、「君臨」する姿。200を超える公演を重ねてきた青学8代目に対する大きな壁として立ちはだからなければならないという責務。ベテラン相手にこのパワーバランスを作り上げなければならない、出来たばかりのチームを観客は見定める。


テニスの王子様」の物語。

テニミュ」の物語。

それが見事に重ね合わさり、互いが作用し化学反応が起きた。「ミュージカル『テニスの王子様』3rd SEASON青学vs氷帝」公演はまったく見事だと感じる。


2016.9.23