bouyant

テニスの王子様のことが大好きです。

頂点であるということ

S1の時、「誰か、どうか跡部をたすけて」って思ってしまう。跡部が辛い思いをしてる。悲しそうな顔をしてる。楽しくテニスをしてほしいのに。誰かお願いって思う。

肩を怪我した手塚がベンチへ戻ると青学のみんなが駆け寄って、声を掛けて、手塚はその中心にいる。同じく氷帝メンバーの中心にいる跡部は、俯き、乱れた息を整えているが、誰も声を掛けることはできず、無言のベンチは驚くほど暗闇に包まれている。


跡部が辛い思いをしている。悲しそうな顔をしている。手塚は青学のみんながたすけてくれてるのに。ねえ、誰かって。


でもこれは跡部が選んだ道なんだ。跡部が、横並びじゃなくて、200人の頂点に立つって自分で決めたことなんだ。200人の頂点に立つ男に、誰も手が届かないんだから、たすけられっこないんだ。


そして跡部もそれを望んだりなんかしていない。この辛くて苦しい状況を誰かが打破してくれるなんて微塵も思っていない。多くの人が手を差し伸べる手塚と対比されると、なんて孤独で、なんて冷酷な様子であったとしてもそれが氷帝での跡部が作り上げた世界だ。

一人で立ち上がり、一人でコートへ向かい、一人で勝利を手中に収めて帰ってくる跡部の、なんて見事なことかと思うんだ。

2ndSの関氷は、手塚と違って跡部がどうしようもなく一人だってことを憂いて、苦しんで、悲しんで、しくしくめそめそ泣いていたんだけど、跡部が紛れもなく自分自身で選んで作り上げてきた氷帝の体制を勝手に可哀想なものにするな!! って2ndSの自分をぐーで100回殴りたい。


跡部景吾は誰のたすけもいらない。神も、チームメイトも頼らない。自分自身の足でそこに立って、すべてを見下ろしていればいいんだ。愛おしそうに。


2016.7.23